ただ聴く ~共感力の高め方~
前回、メンタルヘルスにおいて、「共感力」が大切であると述べました。
「共感力」とは、異なる価値観や考えを受け入れる度合いであり、これは日常生活の中で高めることができるのです。
今回は、その方法をお伝えしましょう。
前回記事
では、どのようにして「共感力」を高めるのか。
それは、人の話を「聴く」ことです。
「共感力」を高めるうえで、「聴く」ことが非常に有効であるということは、アドラー心理学、森田療法や、エーリッヒ・フロム著の「愛するということ」など、様々な心理メソッドにおいて共通して語られていることです。
「聴く」ということを難しく考える必要はない。
コミュニケーションに苦手意識がある人ならば、人の話を「聴く」ということを難しいものと考えるかもしれません。
しかし、その必要はありません。
自己啓発本やコミュニケーションマニュアルにあるような、「聞き上手」を目指す必要はないのです。
コミュニケーションに困難を感じているあなたが、名インタビュアーや阿川佐知子さんのようになんてなろうとしなくていいのです。
本当に相手の話をただ「聴く」だけでいいのです。
相手の話の内容は理解できなくても構いません。
むしろ、理解しようと努力しないほうがいいでしょう。
また、相手の話の内容に同意も納得もできなくてもいいのです。
相手の話の内容が好きでも嫌いでも関係ありません。
ただ、相手の話に耳を傾け、話の内容に関わらずあいづちを打つ。
本当にそれを続けるだけでいいのです。
気の利いたコメントは不要です。
むしろ、こちらはなるべく話そうとしないほうがいいとすら、僕は思っています。
騙されたと思って一度試していただきたいのですが、こちらは一言も話さないで、相手の話にただあいづちを打ち続けてみてください。
それだけでも会話は成立しますから。
沈黙で会話が終わるのは気まずいと思うかもしれませんが、相手が話し終わった後で「なるほど」とあいづちを打つだけで、会話は静かに収束していくものです。
とにかく余計なことは話さないことをおすすめします。
慣れるまでは何か物足りなくて不安かもしれません。
しかし、相手の話になるべく口を挟まず、忍耐強く相手の話を聴き続けることで、あなたは少しずつ、「共感力」が高まるということの真意を体感することとなるでしょう。
そして、嫌いな人との会話や興味のない話に対しても、抵抗なく耳を傾けることができるようになるでしょう。