「キャッチフレーズ」と距離を置く
現代社会では様々な「キャッチフレーズ」が溢れているかと思います。
ライフスタイルに関しても、「断捨離」や「糖質制限ダイエット」など、ブームと呼べるほど多くの人に影響を与える言葉が存在しています。
これらの言葉を生き方や行動の指針として参考にしている方もいらっしゃるのではないかと思います。
しかし、生きづらさを抱える人の中には、これらの「キャッチフレーズ」に振り回され、かえって苦しくなってしまったことがあるかもしれません。
完璧主義で苦しむ人は、「常にこの言葉を守らなければならない。」と自分の行動を縛り、かえって窮屈になってしまったかもしれません。
僕もそうでしたから、よくわかります。
もし「キャッチフレーズ」が、あなたが建設的に生きるための指針ではなく、あなたを束縛する重荷になってしまっているのなら、一度これらを根本から疑ってみてはどうでしょうか。
「キャッチフレーズ」の独り歩き
「キャッチフレーズ」はものごとの性質を端的に表した言葉なので、とても魅力的に響きます。
しかしその分、よく独り歩きをします。
「断捨離」を例に取ってみます。
この言葉の表面上だけを見て、「とにかくモノを棄てればいいんだ。」と捉えている人は多くいらっしゃるのではないでしょうか。
そして、「モノを持たないことは善」という一元的な考えに囚われ、モノを持つことを悪者扱いする。
さらにその考えが先鋭化し、モノそのものを敵視してしまう人もいるかもしれません。
言葉の本質が重要
「キャッチフレーズ」に触れたときは、それらの表面上の意味を安易に鵜呑みにするのではなく、その真意が腑に落ちるまで、信じることを保留してみてはどうでしょうか。
「断捨離」も、その言葉の本質は、単なる「棄てることの奨励」ではないはずです。
身の回りをシンプルに保つことで、雑多な視覚情報に振り回されることを防いだり、本当に必要なものごとにエネルギーを集中することがその目的だと、僕は解しています。
だから、「断捨離」の実践に当たって、今持っている不要なモノを減らすために「棄てる」ことは必要かと思います。
しかし、本当に大事なことは、「棄てる」ことよりもむしろ、不要なモノを減らした後ではないでしょうか。
つまり、減らした後に、不要なモノをなるべく「買わない・もらわない」態度が重要なのではないでしょうか。
そこをはき違えて、「棄てさえすればいいんだ。」と、要らないモノを「買っては捨て、買っては捨て」を繰り返すのなら、モノを粗末にしているのと同じではないかと僕は思います。
このように、言葉というのは、その行間にあるニュアンスや、その奥にある本質こそが重要なのだと僕は感じています。
日本を代表する心理療法の「森田療法」でも、言葉の表面上の意味を鵜呑みにし、それに囚われてしまうことを「教条主義」と呼び、非建設的であると注意を喚起しています。
直感を信じる
しかし、そうは言ってもこの複雑な現代社会。
じゃあ一体、何を信じればいいの?と戸惑うかもしれません。
巷にはこれだけ情報が溢れていますからね。
その気持ち、よくわかります。
僕は「自分の直感」こそ、信じるに値するものだと感じています。
もちろん、魅力的な「キャッチフレーズ」や他者が発した意見も、大いに参考になることもあるでしょう。
それらが心からあなたにとって信じられるものなら、とことん信じていいと思います。
しかし、もしあなたがそれらの言葉にどこか違和感を覚えているのなら、その違和感を信じてみてはどうでしょうか。
もし可能なら、一度立ち止まって、それらの言葉の意味を確認してみてはどうでしょうか。
それでも信じられるかどうかわからないときは、その「わからない」を信じていいのではないでしょうか。
今はわからないままにしておいていいのではないでしょうか。
その言葉の本質を知るまで、むやみに肯定も否定もせず、ただそれらと距離を置いておけばいいのではないでしょうか。
いずれそれが信じるに値する言葉かどうか、自然とわかるときが来るでしょう。
実は、マインドフルネスにおいても、独り歩きしているのではないかと僕が懸念している「キャッチフレーズ」が存在します。
次回はそれについて、お話ししたいと思います。
(続く)