苦しみの超越
「こうすれば悩みはなくなる」
世間にはそうした情報が溢れています。
それらを真に受けて、あなたは散々苦しみと戦ってきたかもしれません。
苦しみからの解放を夢見て。
その努力の偉大さを、僕はよく理解しているつもりです。
なぜなら僕もそうだったから。
そんなあなたに僕は心から敬意を表します。
しかし、あなたはそろそろ気づきつつあるのかもしれません。
「この努力は何か違うのではないか」と。
ひとときの安楽はあったとしても、また別の苦しみが形を変えてやってくる。
しかも、さらに大きな苦しみとなって。
その繰り返しではないか。
ならば、そろそろ前提を疑ってもいいのかもしれません。
「この苦しみは、消そうとして消せるものなのか」
「悩みとは本当は、生きているかぎりなくならないものなのではないのか」
この問いから、真の解放がはじまるのかもしれません。
僕の言葉を今、理解する必要はありません。
わからなくても、何も問題はありません。
どうか自分に無理にわからせようとしないでいただきたい。
答えを探そうとしないでいただきたい。
今はたとえ気持ち悪くても、わからないままにしておいていただきたい。
わからないうちは、苦しみを消そうと懸命に努力を続けてもいいのかもしれません。
しかし、わからないまま、わからせようとせずに問い続けること。
それは、あなたの視界を少しずつ照らしてくれるかもしれません。
そして、あなたが苦しみを消す努力に疲れ果てたとき。
「この苦しみは、どんなにあがき、もがいても消えることはないのだ」
「むしろ苦しみを消そうとするかぎり、苦しみの無限ループに飲み込まれることになる」
「生きているかぎり、悩みというものはあって当然なのだ」
それらの真実に気づきはじめるでしょう。
そして、あなたは苦しみへの抵抗を少しずつ手放していくでしょう。
「この苦しみは放っておけばいい」
そのことを理解するとき、あなたは真の意味で苦しみを超越することでしょう。