美とは清潔であること
写真提供:『京都フリー写真素材集』様
あなたは建仁寺などの禅寺に行ったことはあるでしょうか。
モノが少なくて華やかさはないけれど、きれいに掃除された廊下や整えられた庭園。
もしここに美しさを感じたのなら、本当に必要な美とは何か、少し考えてみませんか。
きっと、禅寺が僕たちに教えてくれている真実があるはずです。
華美さはいらない
僕たちは美というと、装飾が施されたものと考えるかもしれません。
もしくは、カラフルに彩られたものを想像するかもしれません。
もちろんそれらも、あなたが美しいと感じるのであれば、きっと美しいのでしょう。
しかし、それらはおそらく、プラスアルファの美なのだと僕は思います。
本当に心を豊かにする美というのは、引き算の美しさではないでしょうか。
それは、不潔なものや有害なものが少ないということです。
つまり清潔さです。
大切なのは、華美さではなく清潔さではないでしょうか。
清潔でさえあれば、華美でなくても全然かまわないと僕は思っています。
とはいえ、身構えなくても大丈夫です。
あなたは自宅を禅寺やショールームのようにする必要はないのです。
もちろん本心からそうしたいのであれば、そうしてもいいと思います。
しかし、心からそうしたいと思わないのにそこまでするのであれば、それはむしろ潔癖です。
潔癖はお勧めしません。
度の過ぎた潔癖と不潔さは、方向性は違えど有害であるという点においては同じです。
なので、ある程度清潔でさえあれば、それでいいと僕は思っています。
この「ある程度」とは、あなたにとってのある程度です。
究極的には、あなたが不潔だと感じなければそれでいいのです。
美に対する欲求の本来的な目的
ではなぜ清潔さが大切なのかを見ていきたいと思います。
ここからは僕の仮説です。
僕たちに備わった美に対する欲求は、本来、不潔さを感知するためのものなのではないかと僕は思うのです。
といいますのも、欲求とは生命を維持するために人間に備わった機能であると思うからです。
つまり、危険を知らせて回避するためのシステムです。
たとえば・・・
食欲は、飢餓の危険を回避するため。
血糖値が低下した際に、「このままだと飢えてしまいますよ~」と身体が知らせてくれているのです。
自分の生命を守るために。
ほかにも、性欲は、人類の急激な減少や種の断絶を回避するため。
他者承認欲求は、仲間外れになって不利益を被ることを回避するため。
・・・そうであるならば、美に対する欲求は、不潔さのなかに潜む有害物質、細菌やウイルスなどの危険を回避するためにあるのではないかと思うのです。
つまり、不潔さの放置によって、病などにり患するリスクを避けること。
これが、美に対する欲求の本来的な目的ではないでしょうか。
華美さはなくてもいい。
ある程度清潔であればそれでいい。
この意味もご理解いただけるのではないでしょうか。
清潔であること = 他者貢献
実は、清潔であるということは、立派な他者貢献です。
自己啓発書やビジネス指南書を読むと、高尚なことだけが他者貢献だと感じてしまうかもしれません。
しかし、そんなことはないのです。
あなたは自分自身の身だしなみや自分の家を清潔にするだけでも、じゅうぶん他者に貢献しているのです。
あなたが身だしなみを整えることで、あなたはその日接する人たちに気持ちよさを与えるのです。
あなたが自分の家を掃除することで、あなたは自分の家族や訪問者に快適さを提供することができるのです。
そして、繰り返しになりますが、気合を入れて清潔にしようとする必要はないのです。
「ある程度」清潔であればいいのです。
だから、スゴい実績をあげることだけが貢献だなどと思わなくていいのです。
玄関を軽く掃き掃除する。
部屋に掃除機をかける。
食卓を濡れふきんで拭く。
オフィスのデスクやデスク周りを清潔に保つ。
貢献とは、こうした行いでじゅうぶんなのです。
余談・どんなに美人でも・・・
やや誤解を与えるようではばかられる意見ですが、僕はどんなに美人であっても、不潔さや下品さが目立つようであればがっかりします。
逆に、さほど顔の作りなどが整っていなくても、清潔であれば好感が沸きます。
ここでいう清潔とは、身だしなみや立ち居振る舞いのことです。
だから、自分の顔の作りを誰かと比較して、自己否定をする必要などありません。
もちろん、その気持ちは痛いほどわかりますが。
あの人のようになりたいと真似をしたり、気合を入れて化粧をする必要もありません。
もちろんあなたが心から楽しくてやっているなら、それでいいです。
しかし、そうでないなら、際限なく華美さを誇るという「美容ゲーム」に代わって、清潔さを磨いてはいかがでしょうか。
それすらも面倒なら、余計なことはやめましょう。
別人になどなる必要はないのです。
あなたはあなたのままでいいのです。
きっとあなたも、いずれそのことがわかるはずです。