前回、「許す」ということについてお伝えしました。
しかしこうも巷で許しましょう、許しましょうと言われると、許せない自分はだめなのではないかと思ってしまう人もいるかもしれません。
そして、そんな自分を否定してしまう人もいるかもしれません。
まず、事実として知っていただきたいのが、「許さない」という状態があるから、「許している」という状態が存在するということです。
だからまるで「許している」という状態が「当たり前」のように感じてしまうかもしれませんが、決してそんなことはないということ。
そして、「許している」というのは結果としての状態です。
さあ、許すぞといって、昨日の今日でまるでオセロの白黒のように、「許していない」から「許している」に変わることはできないのです。
「許す」と動詞の形式になっているから、さも自分でコントロールできることのように思うかもしれません。
実際に私たちにできるのは、「許そうとする」ところまでではないかと思うのです。
あなたにいずれ「それ」を「許したい」という心があり、「それ」が「存在している」という事実に完全に目を背けなければ、いずれ許せるときがくると私は思います。
何も、「それ」を「好きになる」必要もないし、何なら「それ」を「嫌いでも構わない」のですから。
とはいえ、今、許せないことは辛いと思います。
私は安易に「気にするな。」なんて言いたくもありません。
（それができるなら、とっくにそうしているでしょうから。）
あなたにはあなたの歴史があって、「許せない」という状態になっているのでしょう。
心の中で、「今は許したくない」という気持ちが勝っている。
その事実を認めてあげればいいのではないでしょうか。
つまり、「許したくない」自分を許してあげればいいのではないでしょうか。
それでもなお、許せない自分を責めるのであれば、あなたの中に「いつかは許したい」という心が存在するということではないでしょうか。
だから、もし可能なら、それも認めてみる。
「許せない」自分を責める人というのは、きっと、心の中に強い慈悲や優しさを持った人ではないかと私は思うのです。
だから、「今、許せていないこと」だけにスポットを当てて、自分はダメだなどと否定する必要は全くないということです。
決して綺麗事などではなく。
